日本史の学習

 

当塾の高2生集団指導コースに在籍する生徒16名のうち,8名が日本史選択です。

理系が 3名,文系が 5名という内訳で,理系で日本史という “渋い選択” をする生徒が多いことが嬉しいです。理系なら地理とか誰が決めたのでしょうねぇ。

 

かくいう私も理系の日本史選択でありました。

学んだ量がダイレクトに得点に反映される日本史は私の得意科目であり,各種模試やセンター試験本番においても15分とかかりませんでした。

日本史の指導を担当しておりませんが,センター直前期には毎年受験生諸君とセンターパックの日本史の問題で得点を競い合っています (負けたのは一度だけ)。

 

受験生時代,私は日本史をかなりやり込んだと記憶しています。

昼食をとりながら,友人たちと “高校生クイズ” ばりの難問奇問をぶつけ合っていました。

 

今回,多くの高2生たちのテスト範囲であった 7世紀までの範囲でいうと以下のような出題になります。

 

1. 磐井の乱を鎮めたのは誰か。

2. 崇峻天皇を暗殺したとされるのは誰か。

3. 日本において条坊制が初めて採用されたのはどこか。

※ 4. 『岩宿の発見』を著した相沢忠洋の本業は何か。

※ 5. 1784年,志賀島で金印を発見したとされる農夫の名を答えよ。

 

A.  1. 物部麁鹿火 2. 東漢直駒 3. 大宰府 (都に限定すると藤原京)  4. 豆腐屋 5. 甚兵衛

 

どれも教科書範囲を逸した,いわば “趣味の領域” であり,だからどうしたいう類のものです。

当然ながら定期テストや入試には出題されないものばかりでしょうし,出題されたところで得点差にはならない部分ですから,ここに時間をかけるくらいなら本流の部分をしっかり学ぶべきです。

先日の日曜日,自習室で日本史の学習に取り組んでいた当塾の日本史好きの生徒たちに上記の問題 (上記は一部) をふっかけると,知的好奇心に火がついたのか目を輝かせまくっていました。

 

私が受験生時代に取り組んだものは,山川出版社の教科書と用語集・図録の読み込み,そして『書き込み教科書』くらいのもので,あとは高校のワークをしっかりやるという感じです。

日頃はもちろん定期テスト前に流れや用語に関してしっかり把握しておりましたから,受験前だからといってバタバタしませんでした。

受験対策という観点では,高3生の夏に軽く自分で予習した近現代史の確認と苦手だった文化史の確認のために Z会の問題集 2冊に取り組んだのみです。

 

社会の各科目は,教科書をしっかり究めればセンター試験で 9割とることはなんてことありません。二次にも十分対応できると文系の友人たちも言っていました。

もちろん “究める” というのは上っ面の用語のみ暗記しまくるということではなく,流れや背景をもしっかり理解しつつということです。

日本史に限ったことではありませんが,基礎知識 (各種用語・背景) と流れが欠落した状態で無暗に問題集をやり込んでも点数には結びつかないのです。

 

日頃の学習を大切にし,あれこれ手を出さずにとにかく基礎を徹底的に固める。

これと決めた 1冊を究める《続編》』の回にも申し上げましたが,このことはあらゆる科目の学習に通じていることです。

 

良い習慣

 

今回は当塾の生徒たちの “良い習慣” を紹介したいと思います。

 

まず 1枚目は15時頃の自習室の様子。テスト中である岐阜高・岐阜北高・岐阜東高・長良高の生徒12名が集中して取り組んでいます。

定期テスト中は昼間から多くの生徒が自習室にやって来ます。当塾の生徒たちの “良い習慣” です。

家だと寝てしまったり,携帯が気になってなかなか集中できませんからね。ここならそれも大丈夫です。

 

 

当塾の生徒たちは自習時や授業時に出る消しかすを机の隅に固めて置いておき,休憩のときや帰宅時にまとめてゴミ箱に捨ててくれます。

掃除する側の立場に立った “良い習慣” であると思います。みんな,いつもありがとう。

 

 

お迎えを待つとき,生徒たちは私たちと談笑することもありますが,読書をして待つ生徒も多くいます。

読書といってもさまざまで,当塾は理系の生徒が多いことから『Focus Gold』や『赤チャート』の数学コラム,『Newton』を読んでいる生徒が目につきます。

 

 

写真の『赤チャート』を立ち読みしている生徒は滝中に通う当塾の個別指導専科コースに在籍する中3生で,当塾の授業では数IA をほぼ修了しています。

先日の中間テストでは数学が 295点/300点と足元もきっちり固めつつ,塾では先行した内容に特化して授業を行なっているというわけです。

定期テストが終わったからと,当塾の探究コーナーにある『Newton』別冊の『太陽系の成り立ち 誕生からの 1億年』を家で読みたいということだったので貸し出しました。

 

なお,英語は私が指導を担当しており,数学と同様に先行した内容をどんどん消化しています。

小4生になる頃から指導してきましたが,この生徒に理解力があるのは言うまでもなく,学びたい,知りたいという貪欲さが何よりのエネルギー源です。

この生徒の目指すところは明確に決まっていますから,私たちはそれをしっかりサポートしていく決意です。

 

ブログ画像の撮影に使用しているカメラ

 

“塾長ブログ” をご覧いただいた方に,「綺麗な写真が多いですね」とお褒めの言葉をいただくことがあります。

 

私は文章に自信がありませんから,せめて写真だけでもとある程度こだわっています。

とは言っても,カメラの専門知識が豊富というわけではありません。たくさん撮って “まぐれの 1枚” を選出する,ただそれだけです。

 

最近よく使用しているのが Canon の EOS M というミラーレス一眼で,私のような素人でも綺麗に写せます。

Canon はフィルムの一眼レフからコンパクトデジカメ,そしてデジタル一眼レフと使用してきましたが,この EOS M は一眼レフとコンパクトデジカメのいいとこ取りで本当に良いです。

EOS M は非常に軽いので取り回しがしやすいうえ,所有している EF レンズ群を装着できるのが何より嬉しいです。

 

仕事だけでなく,プライベートでも手放せない 1台になりました。

 

教え子との再会 Vol. 002

 

この連休は帰省した教え子との会食が数件ありました。

大学生・社会人とさまざまですが,どの教え子も,私のもとを巣立って以降も目標を持って立派に成長し続けていることが私には嬉しいのです。

 

写真は京都大学工学部情報学科で学んでいる大学2年生。当塾へ訪問してくれた後,名古屋のラーメン店で撮影したものです。

当塾ホームページ内の “推薦する声” にも登場してもらっています。

ラーメン店に向かう車中や,食事を取りながら将来の展望について熱く語ってくれました。

 

彼は中1生から高3生までの 6年間,私が以前に勤めていた塾で学んでいました。

私が以前に勤めていた塾は小中学生の指導と高校受験がメインであったため,大学受験に関しては塾としてのノウハウがほぼない状況でありました。

私の受け持っていた校舎は高校進学後も通塾を希望する生徒が多かったことに加え,私がたまたま大学受験指導も可能であるということから英語は私が担当しました。

さらに,他の科目は名古屋大学など地元の国公立大に進学した教え子の大学生を講師として登用し,数年かけて高校生を指導できる体制を整えたというわけです。

進路探究塾 Mirai の指導スタイルの原点がここにあり,その間は本当に多くのことを学ばせてもらいましたし,随分と成長させてもらいました。

 

話を戻します。

彼が志望校を京都大学に決めてからというもの,それはもう努力に努力を重ねていました。授業時はもちろん,足繁く毎日通ってくれた自習室での彼の放つオーラがそれを物語っていました。

 

 

写真は彼が京都大学の過去問題を解いて,それを私が添削したものです。

センター試験に関しては夏の時点で 9割を切らないレベルに到達しておりましたから,以降は英語だけでなく数学・物理・化学・国語も含めて二次対策に重点を置いた指導をしておりました。

競争倍率が3.8倍とやや高めではあったものの,2月の直前期の完成度が高かったこともあって無事に現役で合格を掴み取りました。

 

彼は岐阜高校の出身ですが,この年の岐阜高校の京都大学合格者総数は15名 (41名が受験) で,うち現役合格者数は 7名 (27名が受験) と聞いております。

さらに,工学部だけで見ると合格者総数は 5名 (17名が受験) で,うち現役合格者数は 2名 (11名が受験) とのことです。この 2名のうち 1名が写真の彼です。

京都大学ほどのレベルともなると,岐阜高校に通う優秀な学生たちでも一筋縄ではいかない高い壁だということを数字が物語っています。

 

早い段階で各種の取り組みにかかり,計画的に熟していく。

私たちはこの計画のサポートをし,日頃の授業や質問受付はもちろん,科目を問わず二次対策の添削指導をきっちりと遂行する。これが進路探究塾 Mirai の目指すところなのです。

 

読書の効用

 

連休前より,先日のブログでも紹介した “探究コーナー” の書籍貸し出しを開始しました。

一番人気は『Newton 別冊』で,建築学の書籍,哲学の書籍,啓発書がそれに続いています。

 

書籍を通じて先人の考え方やその価値観に触れ,それらを自身の仕事や生き方に反映させる。

私にとって,学生時代から読書はこの位置づけです。

 

当塾では,生徒たちに月 1冊以上の書籍を読むことを課しています (ジャンルは問うておりません)。

読書は人生を豊かなものにするだけでなく,論理的思考力を磨くのにうってつけの手段だと考えているからです。

 

生徒たちにはテストで点数が取れればよい,成績が良ければよい,志望校に合格できればよいというような,学力があるだけの薄っぺらい人間になってもらいたくありません。

日々の学習に愉しみながら取り組むのはもちろんのこと,読書を通じて多種多様な学問や考え方に触れ,一つひとつの達成と日々の自己成長を重ね続けてほしいと願っております。

 

東京大・京都大の合格者数《2015年春・高校別》

 

今春の高校別の東京大・京都大の合格者数がおおよそ判明しております。

岐阜県内の東京大・京都大の合格者数,および高校別の合格者数は以下の通りです。

 

東京大16名 (昨年30名)

《内訳》岐阜高12名,可児高 2名,大垣北高 1名,岐山高 1名

京都大43名 (昨年46名)

《内訳》岐阜高15名,大垣北高 8名,多治見北高 4名,関高 3名,可児高 2名,岐山高 2名,岐阜北高 2名,麗澤瑞浪高 2名,斐太高 1名,鶯谷高 1名,岐阜東高 1名,高山西高 1名,美濃加茂高 1名

 

東京大の合格者数がおよそ半減など,いずれも昨年より合格者数が減少しております。

東京大・京都大に合格することがすべてではありませんし,岐阜大などの国公立大医学部に優秀な受験生が流れたために上記のような結果になったと考えられなくもありません。

しかし,旧帝大をはじめとするいわゆる難関国公立大は都市部の私立中高一貫校に分があると言わざるを得ないというのが実状です。

 

その最たる例が,私の実家のある奈良県の数字に表れています。

奈良県内の東京大・京都大の合格者数,および高校別の合格者数は以下の通りです。

 

東京大65名 (昨年62名)

《内訳》東大寺学園高32名,西大和学園高28名,奈良高 2名,帝塚山学園高 2名,奈良学園高 1名

京都大232名 (昨年212名)

《内訳》西大和学園高81名,東大寺学園高70名,奈良高35名,帝塚山学園高17名,奈良学園高 7名 ほか

 

突出した 2高は私立中高一貫校であり,4位・5位も同じく私立校です。

奈良県の人口は岐阜県のそれよりも少なく 3分の 2ほどですが,東京大・京都大の合格者数でこれほどの差が生まれるのは理由があります。

この 2高が優れた教育を実践していることによって,奈良県内に限らず県外からも優秀な生徒を集めることに成功しているのです。

 

今回,こういった論調で話を進めている背景に,6年後の大学入試改革への危惧があります。

2021年春以降に大学へ入学する高校生,つまり今春に中学校へ入学した学年と現在の小学生は,現行のセンター試験が廃止されて全く異なる形式で入試が行なわれることが決まっております。

名称も『達成度テスト』(仮称) と変わり,新たなスタートが切られるのです。

 

制度設計中の段階ではありますが, かなり確実であろう事柄に『複数回受験』が可能になるとのことです。

現在のいわゆる『一発勝負』に対する批判からこのような案が出ているものと思われます。

しかし,これが実行されることになれば,早い段階で高校履修内容を修了する私立中高一貫校にとってはより有利な条件が揃うことになるのは間違いありません。

 

進路探究塾 Mirai には私立中高一貫校に通う生徒も在籍しておりますが,多くが公立中・公立高の生徒ですから,どの生徒にとっても受験時に不利にならないような指導を実践していきます。

なお,新中1生はこれを見越した全く新しいカリキュラムを準備し,指導にあたっています。

 

私たちが見ているのは,中学生で言えば定期テストや高校入試といった目先のものではなく,もっと先にあるものなのです。

 

電子辞書

 

写真は私の愛機である CASIO の EX-word XD-D10000 です。

当機種は翻訳家の方も使う本格モデルだそうで,私は英作文の添削時に活用したり,20種類以上にもおよぶ各種英語辞書の用例を見て楽しんだりと活用しています。

 

ここ数年の電子辞書の性能アップはめざましいものがあり,手書き機能,付箋機能をはじめ,英語では例文や語法などの完全収録と発音のネイティブ音源の収録。

さらには山川出版社の社会科用語集各種の収録など,文系科目の学習に必要なツールはひとしきり入っています。

もちろん紙の辞書に勝ることはありませんが,電子辞書は高校生にとっての時間効率策の一環としては不可欠なものになりつつあります (小中学生は紙の辞書を使わないとだめですよ)。

 

例年,高校生から「電子辞書はどれを買うべきですか」と質問が寄せられます。

この春も例外なく新高1生から同様の質問が寄せられました。

 

私は生徒たちに「『ジーニアス英和辞典・和英辞典』と『広辞苑』,そして山川出版社の社会科用語集各種が収録されているものであれば,最新モデルでなくとも問題ない」と伝えています。

あとは「今後のために『OALD』が収録されているものであるとなお良い」と付け加えています。

 

私も高校生の頃に英英辞典 (『OALD』) を活用したことから,高3生からは英和辞典と併せて英英辞典も活用することを一部の生徒に薦めています。

日頃から多くの英文に触れることにより単語の定着力が格段に向上するとともに,何より英文の処理速度の向上が期待できます。

ただし,高2生の終わりまでに4,000語レベルの英単語があらかた習得できていることが前提となります。

私の授業で実施している単語テストの得点状況や,その生徒の英語に対する取り組みを見て,個々に使用を薦めるにとどめております。

 

語学系の学部でなくとも,普通の大学であれば英語で論文を読んだり書いたりする機会は結構あるものです。

また,TOEIC や TOEFL を受験する際や院試で英語が必要なケースは多々ありますから,こういったことを見据えても,高校生の頃に英語をしっかりと学んでおくことはとても重要なことです。

 

電子辞書は高校生の学習をサポートしてくれる素晴らしいツールです。

しかし,先日のブログでも書いた通りで,学習の基本は “書く” ことです。電子辞書はあくまで学習の補完に過ぎないということを忘れてはいけません。

 

理系か文系か

 

就職を見据えたとき,『理系が有利か,文系が有利か』という議論がよくなされます。

 

マスコミが発表している数値や各種統計を見ると理系が有利であるという結論に落ち着きそうです。

しかし,私は系統選択をする時点で子どもたちが将来の目標をどれだけ具現化できていたかが何より重要で,『理系が有利か,文系が有利か』という議論そのものが不毛であると考えております。

 

進路探究塾 Mirai は学習指導・受験指導をもちろん行ないますが,むしろ大切なのはその先であると捉えて将来設計指導に力を入れております。

各種テストで点数を取らせるための指導や受験の合格だけを目的とした指導ではなく,学ぶことの意義や受験の先を見据えて必要な事項を中心に指導しています。

 

現在通ってくれている生徒たちは明確な目標を持って当塾で過ごしています。

まとまった人数のいる当塾の高2生で見ますと,理系が70.6%と文系が29.4%という配分で,志望校はもちろんのこと学部・学科まで絞り込みが完了しています。

 

私のこれまでのキャリアを振り返っても,直接指導にあたってきた高校生はだいたいこんな感じで理系が多く,その比率は 2 : 1 から 3 : 1 に落ち着きます。

進路探究塾 Mirai の生徒たちを含めて私の教え子たちが理系に偏るのは,いわゆる “実学志向” ならびに “職業に直結しやすい” という理由からです。

あとは,私が理系 (農学部) の出身であるということに加えてスタッフにも理系出身が多いことから,その話を聞くことで何を学べるかが具体化しやすいということも影響しているかもしれません。

 

高1生の秋の時点で理系・文系の選択をする際,私の生徒たちは将来の目標からの逆算で志望校を決めて系統選択をしています。

数学が不得意だから文系に進むといったような安易かつ残念な選択を誰一人としてしておりません。

 

私が大学受験まで指導したこれまでの教え子たちが進学した学部を順に書き連ねると以下のようになります。

理系生は工学部が圧倒的に多く,薬学部,理学部,農学部,医学部,教育学部,看護学部と続き,文系生はほとんどが教育学部に進み,看護学部,芸術学部,外国語学部,文学部と続きます。

ここには,上記した “実学志向” ならびに “職業に直結しやすい” 学部が多く含まれていることがわかります。

 

きちんと志望校・学部・学科に合格した生徒の多くは,早い段階で将来の目標が具現化できていました。

進路探究塾 Mirai では,小学生・中学生の時点から将来の目標を持ち,その目標を達成するために一つひとつの取り組みがあるのだということを子どもたちに指導します。

 

高校数学の学習と中学と高校の学習法の違い

 

本日は高校数学の学習法と,中学と高校の学習法の違いに関して綴ります。

中学生や新高1生,およびその保護者の方に読んでいただければと思います。

 

近隣の高校で数学の参考書として採択されているのが『Focus Gold』 (啓林館) と『チャート式』 (数研出版) です。

『Focus Gold』は岐阜高と加納高,『チャート式』は岐阜北高で青が,岐山高と長良高で黄が採択されています。

 

先日のブログでも申し上げたように,大切なのはそれをどう使い熟すかであり,どれが良いとか良くないという議論もあるようですが,どれも解説がしっかりしていますから似たり寄ったりです。

ただ,『Focus Gold』は掲載されているコラムが非常に興味深く,数学好きにはたまらない仕上がりとなっております。

私は高校時代に赤チャートで学んでおりましたから当時に『Focus Gold』があれば嬉しかったでしょうし,読み耽っていたかもしれません。

 

『Focus Gold』・『チャート式』を問わず,いきなり演習に入るのではなく,解法プロセスを理解してから例題および演習に取り組むという流れが欠かせません。

問題を完璧に解き切れた場合は次に進むことになりますが,解き切れなかった場合はどこで躓いたのか,どの知識が不足していたのかを解答・解説を参照しながら検証します。

 

ただ解答を書き写すだけでは力になりませんので,私の場合は解けなかった問題にチェックを入れ,それを数日後に取り組むという流れを定着させていました。

ありきたりな方法ではあるものの,“数日後に再度” という流れが抜け落ちてしまう受験生は意外に多いのです。

 

ここで申し上げたいのは,高校の学習法は中学のそれとは大きく異なるということです。

中学レベルの内容であれば,闇雲に問題を解いたり与えられた大量の課題を熟していけばある程度の成績には到達できます。

 

しかし,高校レベルとなるとそうはいきません。科目や分野にもよりますが,高校生が取り組むべきは単なる暗記の積み上げではないのです。

もちろん英単語やイディオム,定理や公式,漢字や古文単語,理社科目の語句など暗記が必要なものもありますが,最も問われているものは運用能力です。

 

学習の本質は “理解すること” ですから,場当たり的な演習を通じて運用能力に近しいものが得られるのは中学までだということを,大学受験に向かう高校生は肝に銘じておかなければなりません。

 

運用能力は復習と徹底した理解を通じて得られるものです。

進路探究塾 Mirai では小中学生に宿題と併せて『レビュー』を課しておりますが,これは目先の成績向上のためだけでなく,高校生になって以降を見越して導入していると言っても過言ではありません。

 

これと決めた 1冊を究める 《続編》

 

私が高校生の頃,受験英語の仕上げとして取り組んだ参考書が『英文解釈教室』(研究社) と『英文和訳演習 上級編』(駿台文庫) の 2冊です。

 

この 2冊に高2生の秋から取り組み始め,およそ半年間かけて完結させました。

なお,英単語は先日のブログでも紹介した『速読英単語 必修編・上級編』(増進会出版社 (現 Z会出版)),英文法は『基礎英文法問題精講』(旺文社) を完結して上記の 2冊に取り組みました。

 

これ以外はというと,模試の振り返りをじっくりと時間をかけて取り組んだり,日頃から英英辞典 (OALD) を引いたり,英字新聞を読んだりという程度でした。

語彙力がしっかりとついていれば,“特別な何か” に取り組む必要はないのです。

 

私は英語だけでなく,どの科目も基本的に各テーマごとに 1冊 ( 1種) というスタンスを崩しませんでした。

科目を問わず多種多様な参考書・問題集が出版されていますが,複数冊を表面的に,ではなく,これと決めた 1冊を 3~4回繰り返して徹底的に理解する。

コンサバティブと言えばそれまでですが,これはどの科目においても私が大切にしてきたことで,数学は『赤チャート』と『オリジナル』,化学・生物は『重要問題集』を徹底的にといった具合です。

 

進路探究塾 Mirai の生徒たちはもちろんのこと,私のこれまでの教え子たちにも同様の取り組みをさせてきました。

基礎基本の徹底なくして学力向上はありえません。「学問に王道なし」という諺もあるように,学習を進めていく過程に近道はないのです。

これは,どんなに時代が進もうとも,変わることのない普遍的なことです。

 

話を『英文解釈教室』と『英文和訳演習』に戻します。

 

『英文解釈教室』と『英文和訳演習』で扱われる英文のレベルは難解なものが多く,とにかく文構造が複雑です。

私はじっくり時間をかけて一つひとつの英文を精読し,書き上げた和訳を解説のものと比較し,文中に用いられている文法の紹介や訳出における工夫などの解説を読み込んでは理解する。

この作業をひたすら繰り返しました。

非常に地味な作業ではありますが,この 2冊が私の英文和訳力の礎を形成し,精読力をつけてくれたといっても過言ではありません。

 

一昨年度は京都大,昨年度は東京藝大と,英文和訳の力が試される大学を受験する生徒を指導してきたこともあって改めて精読することの重要性を感じました。

開塾したばかりの進路探究塾 Mirai においても,大学受験で大きな成果を上げる可能性が非常に高い生徒たちが多く入塾してくれました。

私の英語の授業のみならず,数学・国語・物理・化学・生物・日本史・地理・倫理政経のどの科目においてもさらに精度を高めることが,彼らの期待に応える唯一の方法です。

 

生徒たちの夢の実現に向け,共に頑張っていこうと改めて決意した次第です。