以前のブログでも触れましたが,現在の大学入試センター試験が2019年度 (現在の中2生) をもって廃止され,それに代わる『新テスト』が2020年度 (現在の中1生) より導入されます。
今回のブログでは『新テスト』の現時点で判明している事柄と,それに向けた当塾の取り組みを紹介します。
『新テスト』は『達成度テスト』とも呼ばれ,具体的には『高等学校基礎学力テスト』と『大学入学希望者学力評価テスト』に分かれます。
テストごとの受験対象や位置づけ,および特徴を列記します。
『高等学校基礎学力テスト』は,高校の学習内容がどの程度身についているかを確認するという位置づけです。
受験は強制ではないものの,実質的には大学を受験する,しないを問わず,高2生以上のほぼ全員が受験することになると見込まれています。
『高等学校基礎学力テスト』における試験科目は数学 I などの必修科目で,出題形式は現在のセンター試験に近いものになるとのことです。
ただし,ペーパーテストではなくコンピュータ端末を用いる CBT 方式が導入されることになっており,本格導入となればこれまでの受験の風景が一変することになります。
結果については現在のセンター試験のような 1点刻みではなく,A や B といった段階別表示で学校と本人に通知されます。
『大学入学希望者学力評価テスト』は,大学入学を希望する高校生が大学教育を受けるために必要な能力を備えているかどうかを評価するという位置づけです。
その結果を大学入試の “受験資格” として使用することを文部科学省も積極的に進めようとしています。
『大学入学希望者学力評価テスト』は高3生以上での受験が予定されており,現在のセンター試験とは異なり年に複数回実施されます。
また,テスト形式は『高等学校基礎学力テスト』と同じく CBT 方式での実施が予定されています。
しかし,『高等学校基礎学力テスト』の問題が選択方式であるのに対し,『大学入学希望者学力評価テスト』は選択方式に加えて記述式の導入を目指すとされています。
『高等学校基礎学力テスト』がいわば “従来型” のテスト形式であるのに対し,『大学入学希望者学力評価テスト』 は「思考力」「判断力」「表現力」を問うものとされています。
問題も従来のような教科型の問題に加えて,合科型・総合型の問題が出題されることになっています (将来的には教科型の出題は廃止の方向で検討されています)。
また,英語に関しては TOEFL iBT や TEAP といった民間の資格・検定試験を活用するとされています。従来の「読む」「書く」「聞く」に加え,「話す」能力が問われることになります。
テスト結果についても『高等学校基礎学力テスト』と同じく,点数ではなく A や B といった段階別表示で本人に示されます。自己採点をする現在のセンター試験とは大きく異なります。
『高等学校基礎学力テスト』は2019年度から,『大学入学希望者学力評価テスト』は2020年度から実施されます。
詳細な内容等は現在検討が進められていますが,その基本方針である「新テストの実施方針」は2017年度中に公表される予定となっています。
先述したようにこれまでの “各教科型” とは異なる “合科型⋅総合型” となることが公表されており,その作問イメージおよびモデル問題は2016年度中に公表される予定です。
多くの受験生にとってほとんど経験したことのない出題形式ですから,早い時期からその対策に取り組む必要があります。
早いうちから学習習慣をつけておき,基礎学力や知識の定着を心がけるなど,今からでもできる対策をしておくことが求められます。
『新テスト』に向け,現在当塾が小学生の指導(国語⋅算数)に盛り込んでいることは以下の 5つです。
・単なる漢字の学習にとどまらない “語彙力” の獲得
・読書習慣を構築し,日々の読書を通じての “教養” の獲得
・自分の考えや意見を文章で表すことができる “表現力” の育成
・速く,かつ正確な “計算力” の育成
・多彩な図形に触れることにより空間認識能力を高める “想像力” の育成
『新テスト』は今のところモデル問題さえも提示されていない状況ですから,どのような出題形式になるのか,合科型とはどんなものなのか等,現時点ではまったく予想ができません。
しかし,テストがこれまでの知識偏重のものではなくなるとすれば,これまでのような問題集を多く熟せばよいという学習スタイルでは結果を残すことができなくなるのは明白です。
日頃の読書でさまざまな考えに触れることが必要になりますし,何より自分の意見をしっかりと持つこと,さらにはそれを文章および口頭で発信できること。こういったスキルが求められるのです。
当塾は,生徒たちにこういったスキルを身につけていただくことを目的としても,毎月の将来設計指導の実施や読書の推進を行なっています。
かつ,愉しみながら学べる環境づくりにも力を入れております。
中1生・中2生に対しては上記の取り組みに加え,アクティブ・ラーニングの手法を用いた指導を個別 CT の授業枠を用いて定期的に実施しております。
写真はグループでまとめた意見を代表者がプレゼンテーションをしている場面です。
お互いに意見を出し合い,グループとしての “答え” をディベートを通じて見つけ出す訓練です。それを最終的に 1枚の紙にまとめ,代表者にプレゼンテーションを実施してもらいます。
この日のテーマは『中国における一人っ子政策の緩和』で,多くの闊達な意見が出されていました。
とは言え,なかなか意見を出せない生徒がいるのも事実ですから,グループごとについている教員がサポートし,意見を言いやすい環境をつくりだ出します。
最後は生徒たちのディベートおよびプレゼンテーションを振り返り,私からのまとめを伝えます。
この取り組みは,定期テスト指導や受験対策一辺倒ではない,当塾の考える “将来を見据えた指導” の一環でもあります。
これからは定期テストで得点できればよし,高校に合格できればよし,では全く通用しなくなるのです。少なくとも 5年後からはそれがより顕著なものになります。
当塾が過去問や予想問題に頼らせない指導を実践している理由はここにもあるのです。