入塾をご希望の中学生の保護者様からお問い合わせをいただく際,「直近の定期テストで 5科の合計が〇〇〇点,内申が△△なら□□高校に合格できるでしょうか」と質問を受けることがあります。
このような質問に対する私の答えは,決まって「わかりません」で通しております。
定期テストは学校によって,学年によって,さらに作り手によって大きく異なります。
定期テストの存在意義を否定はしませんが,狭い出題範囲による短期決戦型のテストにおいては,その生徒の “真の実力” を推し量ることはできません。
さらには,どういった取り組みを通じて得られた得点なのかによっても,その得点の価値や意味合いが変わってきます。
当塾では定期テストの予想問題を行なっていないことは,これまでのブログでもたびたび取り上げてきました。
同時に,当塾では中学校ごとの過去問など過去の出題に即した演習もほとんど行いません。
生徒たちには,指定された教科書の範囲を暗記すべきものは暗記してきちんと理解することと,学校のワークおよび授業ノートの振り返りをすることの指示を出すにとどめています。
あとは授業でオーソドックスな演習問題を数ページ扱うくらいです。
これは,決められた範囲を徹底してやり抜く重要性を伝えるという,当塾の指導方針です。
生徒たちが予想問題やら過去の出題に即した問題を大量に取り組み,その結果として得られた定期テストの得点に対し,私にはそれが価値のあるものと捉えられないのです。
予想問題等に頼り切っていては,大きく傾向が変わった際に対処できません。入試でも出題傾向が突然大きく変化することは多々あります。
つまり,これは子どもたちの自主性が失われてしまっている状態と言えます。
この状態に陥ると,高校生や大学生になってからも「予想問題がないと困る」ことになります。
社会に出て,容易には答えの見つからない問題に直面した時に,自分の力でそれを解決する術を見つけることができないのです。
『すぐ役立つことは,すぐ役立たなくなる』
この言葉は、私が以前に拝読した灘中・高の橋本武先生の著書 (『伝説の灘高教師が教える 一生役立つ学ぶ力』 (日本実業出版社)) の一文です。
橋本先生の含蓄のあるお言葉に感動するとともに,先生の指導方針は当塾の指導方針と合致する部分が多く,大変共感できる内容でありました。
当塾の指導においても “すぐに役立つもの” は排除して,長い目で見た指導の先にあるもの,私たちはそれを追及しているのです。